プライオメトリックトレーニングの頻度と量について考える


プライオメトリックトレーニングはSSC(ストレッチショートニングサイクル)を用いたトレーニングで、競技パフォーマンスの向上や傷害予防の方法としてプログラムに組み込まれています。
プライオメトリックを取り入れる利点としてEXOSの資料では下記のように記述されています。

  • RFDの改善によるexplosive strength(爆発的な筋力)の増大
  • 弾性エネルギーの貯蔵と再利用によるreactive strength(反応的筋力)の増大
  • 各関節への力の伝達効率の改善とエネルギー漏出の最小化

(Aagaard at al.,2002,Komi, 2003 and Turner and Jeffreys, 2010)

RFDの改善としては(Newton & Kraemer, 1994)でプライオメトリックがその他のトレーニング方法よりも効果を期待できるとしています。

RFDの改善

上記の研究では対象者をトレーニングなし、爆発的な反動動作を用いたトレーニング、高重量トレーニングの3グループに振り分けてトレーニングを行い、RFDの変化を比較検討しています。
その結果、爆発的な反動動作を用いたトレーニング(プライオメトリックトレーニング)の方が、高重量を用いたトレーニングよりもRFDが改善したとしています。
但し、プライオメトリックトレーニングだけをやっていればよいというものではなく、最大筋力が土台として一定水準獲得できていることが必要で、そのためには高重量を用いたトレーニングも同時に行うべきだとしています。
昨今、書店では「これさえやれば・・・」といった書籍が目につきますが、何事も1つで全てを解決することはできないということですね。

このRFDの改善に効果的なプライオメトリックトレーニング、効果は勿論ですが、特にチームスポーツにおいては、限られた時間での効率も考える必要があるかと思います。
また、オーバートレーニングや障害に対するリスク管理から、アスリートの経験、体重、サーフェス、頻度や量と考えなければならないことが何点かありますね。

みなさんはプライオメトリックトレーニングを行う際、上記の観点から、その頻度と量をどのようにデザインされていますか?
この議論をする前に今回の記事におけるプライオメトリックトレーニングの「頻度」と「量」の定義を確認します。

頻度

週当たりのトレーニングセッションの回数。

1回のセッションにおける反復回数とセット数の積。

頻度と量に関して共通の理解をしたところで、いくつかの団体で定めているガイドラインをみていきましょう。
NSCAでは、下記の様に定めています。

NSCAガイドライン

頻度
週に1-3回


・初心者:80-100
・中級者:100-120
・上級者:120-140
※セッションごとの接地回数

私が取得しているEXOS performance specialistのテキストでは

EXOSガイドライン

頻度が週2回の場合
接地回数40-60回/セッション、120回以下/週

頻度が週4回の場合
接地回数20-30回/セッション、120回以下/週

また米国のパーソナルトレーナー業界のハイランクとして位置付けられているNASMでは

NASM PES

頻度


低強度:400
中強度:350
高強度:300
超高強度:200

と定めています。
ちなみに低強度のエクササイズはJump to BOXなどジャンプ後に身体を静止させるもの、中強度はLunge jump、Squat jumpなど連続してジャンプするもの、高強度はDepth jumpなど高い位置からの反発を利用するものなどが挙げられます。
その上で、経験の少ないアスリートは接地回数を1セッション当たり100回以下、経験豊富なアスリートは1セッション当たり120-140回としています。

上記の3つのガイドラインではNSCAが1回当たり120回前後と定めているのに対して、EXOSでは週に120回ぐらい、NASMでは強度に応じて200-400が基準として推奨されているようです。
はたして、どのぐらいの頻度、量が適切なのでしょうか?

今回ご紹介する論文は上記2つの要因をプログラミングする際のヒントになるかもしれません。

LOW AND MODERATE PLYOMETRIC TRAINING FREQUENCY PRODUCES GREATER JUMPING AND SPRINTING GAINS COMPARED WITH HIGH FREQUENCY

この研究では42人の学生を無差別にコントロール群、7セッション(週に1回)、14セッション(週に2回)、28セッション(週に4回)の4グループに分けて、7週間プライオメトリックトレーニングを行った。実験の前後には最大筋力(レッグプレスによる1RMとアイソメトリック)、垂直跳び、ドロップジャンプ(20cm、40cm、60cm)、20mスプリントを測定し比較検討した。その結果、14セッション行ったグループは、28セッション行ったグループと比べてジャンプ、20mスプリントタイム、ジャンプコンタクトタイム、最大筋力において同様の向上が認められた。14セッションのグループ(18%、1回のジャンプ当たり0.011%)は28セッショングループ(12%、1回のジャンプ当たり0.014%) はトレーニングセッション中のジャンプの回数が50%にも関わらず同様の向上が認められたことから1回当たりのジャンプトレーニングの効果が高く効率が良い。

この研究では20、40、60cmの3つの異なる高さからのドロップジャンプを、1セッション当たり各グループ60回行い効果を比較しています。
1セッション当たりの量の違いによる効果も確かめたいところですが、この研究では、量を各グループ60回で統一し、頻度を週に1回、2回、4回のグループに分けて、そのトータルの量を比較しています。
結果としては、週4回の頻度(合計接地回数:1680回)と週2回(合計接地回数:840回)の頻度ではその効果に有意な差は認められず、2回と4回で効果が同じであれば2回の方が効率が良くいいのではないかというものです。
トレーニング効果は、合計のジャンプや反復回数に部分的に依存するため、トレーニングの量を増やすことは1つの方法ではあるが、多ければ多いほど効果があるという訳ではなということですね。
チームで携わる中で週に4回トレーニングセッションの時間を頂くのは現実的ではないことが多いです。
今回の研究は4回の頻度を確保しなくても十分効果を期待できるし、オーバートレーニングや障害の予防的観点からも限られた時間で効率よくエクササイズを行う必要性を考える機会を与えてくれます。

ちなみに私がプライオメトリックトレーニングを行う際は、

頻度
チームスタッフに2回のセッションを頂けるようにご理解を頂く。
パーソナルの場合は週に1回のことも多いです。

(1セッション当たり)

  • 初級者や体重が多い方:60回以下
  • 中級者:90回以下
  • 上級者:120回以下

したがって、

  • 週1回の場合:60-120回
  • 週2回の場合:120-240回

をおおよその基準としています。

まとめ

  • プライオメトリックトレーニングは高重量トレーニングよりもRFDを改善する効果が期待できる。
  • 爆発的な能力を改善する為には、高重量トレーニングとプライオメトリックトレーニングの両方を行うと良い。
  • プライオメトリックトレーニングを導入する際は様々な要因を考慮してプログラムデザインをする必要がある。
  • 「頻度」と「量」は効果やオーバートレーニング、障害予防的観点から回数を選択する。
  • プライメトリックトレーニングの効果については週4回の高頻度が週2回の中頻度よりも効果が高いとは限らない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です