安静にし過ぎるのはよくない


こんにちは。

皆さんは怪我をした際の応急処置としてRICEという略語を聞いたことはありませか?
私は大学の時に授業で初めて聞きました。
現在は雑誌やネットなどで情報が溢れているので皆さんも一度は耳にしたことがあるかと思います。

  • Rest:安静
  • Icing:冷却
  • Compression:圧迫
  • Elevation:挙上

どんな怪我であれ上記の処置をすることで患部の炎症を必要最小限にし、怪我からの復帰を早めてくれると習いました。
しかし、怪我をした際の応急処置としてのRICEは見直される時が来たようです。

今回の記事は、テキサス州の大学で、アスレティックトレーニング学部の専任臨床教育コーディネーター&臨床助教授としてご活躍のsayuriさんが運営しているInnervate The World!の記事を読み、参考にさせて頂きました。

実際、私も選手のリハビリを行う際、ギプスなどの患部の固定(Rest)により関節可動域の獲得や筋力の回復に頭を悩ませてきました。
下記の文献はその悩みを小さくしてくれるヒントになるかもしれません。

PRICE needs updating,should we call the POLICE?
C M Bleakley, P Glasgow, D C MacAuley

The acronym PRICE(protection, rest, ice, compression and elevation) has been central to acute soft tissue injury management for many years despite a paucity of high-quality, empirical evidence to support the various components or as a collective treatment package. Treatment paradigms in sports medicine must be updated based on contemporary research evidence. As a recent example, the widespread use of non-steroidal anti-inflammatory drugs in acute soft tissue injury management has been challenged, particularly with ligament and muscle injuries.
PLICE(保護、安静、冷却、圧迫、挙上)の略語は、共通の治療パッケージとしての多様な要因や、質の高い、実証的な根拠が不足しているにも関わらず、長年に渡り急性の軟部組織損傷マネージメントの主流であった。スポーツ医学の治療におけるパラダイムは、現代の研究による根拠に基づいて更新しなければならない。近年の例としては、急性の軟部組織損傷マネージメント、特に靭帯、筋肉の損傷における非ステロイド型の抗炎症薬の試みが広がりつつある。

興味のある方は英語の文献になりますが、こちらからフリーでPDFをダウンロードできますのでご一読頂ければと思います。

今回の文献では急性の軟部組織損傷は短期間の免荷が必要ではあるが、受傷後すぐの時期に期間を制限するべきであるとしています。その理由として、段階的な機械的荷重は組織の修復に関連するmRNAを増加させ、筋力とコラーゲン線維の形態的修復に有益であることに触れています。そして、足関節捻挫の機能的リハビリテーションは、松葉づえやサポートブーツを用いた早期体重負荷が含まれるとしています。

現在日本ではサポートブーツを見ることは少ないですが、昨年海外で販売しているものを購入して使用しています。
勿論、病院でのドクターの診断を受けた上での話ですが。
私が購入したものはマジックテープで固定した後、空気を送って同時に圧迫を加えられる優れものです。
特に前額面での動きがしっかりと固定されていて、底面が靴のようになっているのでそのまま屋外でも使用できるようになっています。
恐らくアメリカではこのまま屋内にも入るのでしょうが、日本は屋内では靴を脱ぐのでそのままという訳にはいかないのが多少難ありです。

実際の現場で早期体重負荷を行う際の難しさは、組織の修復における荷重と免荷の間のバランスで、早すぎたり、負荷が大き過ぎれば、損傷部位は再出血やダメージを負ってしまいます。秘訣は“Optimal Loading (最適な荷重)”としています。
現時点では最適な荷重の明確な指標はないようなので、選手をよく観察し、コミュニケーションを取りながら負荷の適用量、タイミングを図るしかないようですね。

アイシングなどにも賛否両論あるようですが、いまのところ、冷却による鎮痛効果や、圧迫や挙上によって提供される安定、支持は略語の中にICEを留めるのに十分なようです。

最後に、著者はPOLICEは単なるマネージメントにおけるガイドの略ではなく新しい分野の研究を刺激するものであるとしています。
我々も一つの方法に固執せず、現在当たり前に行っていることも当たり前ではなくなることがあることを前提に日々アップグレードしていく必要がありますね。

REFFERNCES
  1. Prins JC, Stubble JH, van Meeteren NL, et al. Feasibility and preliminary effectiveness of ice therapy in patients with an acute tear in the gastrocnemius muscle: a pilot randomized controlled trial. Clin Rehabil 2011; 25: 433-41.
  2. Bleakley CM,Glasgow PD, Philips P, et al; for the Association of Chatered Physiotherapists in Sports and Exercise Medicine(ACPSM). Guidelines on the Management of Acute Soft Tissue Injury Using Protection Rest Ice Compression and Elevation. London: ACPSM, 2011: 15-21.
  3. Bring DK, Reno C, Renstorm P, et al. Joint immobilization reduce the expression of sensory neuropeptide receptors and impairs healing after tendon rupture in a rat model. J Orthop Res 2009; 27: 274-80.
  4. Eliasson P, Andersson T, Aspenberg P. Rat Achilles tendon healing: mechanical loading and gene expression. J Appl Physiol 2009; 107: 399-407
  5. Bleakley CM, O’Connor SR, Tully MA, et al. Effect of accelerated rehabilitation on function after sprain: randomised controlled trial. BMJ 2010; 340: c1964.
  6. Jones MH, Amendola AS. Acute treatment of inversion ankle sprains: immobilization versus functional treatment. Clin Orthop Relat Res 2007; 455: 169-72
  7. Kerkhoffs GM, Rowe BH, Assendelft WJ, et al. immobilization and functional treatment for acute lateral ankle ligament injuries in adults. Cochrane Detabase Syst Rev 2002; 3: CD003762.
  8. Khan KM, Scott A. Mechanotherapy: how physical therapists’ prescription of exercise promotes tissue repair. Br J Sports Med 2009; 43: 247-52.

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