スクワットにおける足関節の可動性 その3


前回までの記事で足関節の構造とその機能、そして、その働きがその他の関節にどのような影響を与えるかを確認しました。

スクワットにおける足関節の可動性 その1
スクワットにおける足関節の可動性 その2

今回の記事では足関節が果たすべき機能を果たしているかを評価するための2つのテストをご紹介します。

Overhead Deep Squat (オーバーヘッドディープスクワット)

このテストは、股関節、膝関節、足関節の左右対称性の可動性を評価するテストです。
また、両手を頭上に挙上する動作も組み合わさることで、肩関節の左右対称性の可動性と胸椎の伸展可動性も合わせて評価することができます。

このテストを行う際の基本的なルールとしてはウォームアップを行わない状態で評価することです。
まずは下記の動画をご覧ください。

開始姿勢
  • 腋窩からの垂線と一直線上に足部の内側を置く
  • つま先を正面に向ける
  • 頭の上にバーを乗せ、両肘関節が90度屈曲位になるように手の位置を調節する
  • 上記のグリップ幅で頭上にバーを押し上げ、両腕をしっかり伸展させる
動作
  • 踵は床に着ける
  • 頭部と胸部はまっすぐ前に向ける
  • バーを頭上に最大限持ち上げる
  • 上記を保持したままゆっくりとしゃがみ、できるいだけ深いスクワットポジションをとる
評価基準
  • 上肢の開始姿勢が失われない
  • 脛骨と体幹が平行か、または体幹がやや垂直
  • 大腿骨が床と平行よりも下まで下がる
  • 矢状面上のアライメントが崩れない
  • 過剰な労力、左右非対称性、モーターコントロールの欠如
採点方法

  • 3点:上記の評価基準をすべてクリアし、痛みなく適切な動作ができている
  • 2点:踵を挙上(5cm程度)した状態で適切な動作ができる
  • 1点:踵を挙上しても適切な動作ができない
  • 0点:痛みがある

このFMSはFunctional Movement Screenの名称からもわかる通り、あくまでスクリーニングをするツールです。
スクリーニングはの目的はどこに問題があるかを見極めるものではなく、対象とする集団の中から問題があることが予測される選手をふるいにかけて選別することです。
この段階では問題がどこにあるかを考えずに機能的な動作ができているのかできていないのかを評価します。
もし、評価で3点の場合は足関節での問題もないと考えていいかと思います。
理由としては、FMSにおけるOverhead Deep Squatではつま先を正面に向け足関節の可動性をより強調して測定しているからです。
通常のスクワットでは以前お話したようにつま先を30度外側に向けたスタンスをとりますが、つま先を正面に向けたスタンスでは足関節の背屈がより必要になります。
要するに、より足関節の背屈可動域が必要なFMSで適切な動作ができれば、通常のスクワットはできるということです。

もしこのテストで2点以下の選手がいたら、その問題がどこにあるのかを評価していきます。
但し、いかなるときも動作を評価することが第1のステップ(Always assess movement first)です。
今回は足関節の背屈可動域を評価するテストの中で現場で簡易に行えるものをご紹介します。

Half-Kneeling Dorsiflexion Test (ハーフニーリングドルシフレクションテスト)

このテストは片膝立ちで足関節の背屈可動域を評価するテストで、多数の研究において足関節の可動域評価法として用いられています。
理学療法士のDr.Mike Reinold氏も測定する側の特別な訓練の必要がない信頼し得るテストとして推奨しています。

開始姿勢
  • シューズを脱ぐ
  • 壁の前に片膝立ちになる
  • 壁から5インチ(12.7cm)のところに前足の親指を位置させる

上記のチェックリストで全てPassにチェックがつく場合、足関節の十分な背屈可動域があることを示し、Overhead Deep Squatでの機能不全は足関節以外にあることが考えられます。足部の安定性の欠如、膝関節の安定性の欠如、股関節の可動性の欠如、もしくはモーターコントロール・姿勢制御に問題があるかもしれません。

しかし、もしFailにチェックがつく場合、足関節の背屈可動域制限があり、Overhead Deep Squatにおける機能不全は足関節に原因の1つがあると考えられます。仮に右足が全てのチェックリストをPassしても、左足でFailにチェックがつく場合、左足関節の背屈制限により深くしゃがめないばかりでなく、体重のシフトなどの左右非対称性の機能不全が起こります。

足関節背屈制限の原因としては

  • JMD:Joint Mobility Dysfunction
    骨棘、過剰な石灰化、関節包、靭帯による可動性の低下
    外傷後に起こることが多く、足関節前面につまり感がある。
  • TED:Tissue Extensibility Dysfunction
    筋や筋膜の伸張性の低下
    座位中心の生活やハイヒールによって引き起こされる。

の2つが考えられます。
大切なことは上記のどちらが背屈制限になっているかを見極め、それによって適切な解決策を選択し実施することです。

There is no one-size-fits-all approach

全てを改善することができる万能薬はないということです。
「なんとかメソッド」とか「これさえやれば・・・」などの言葉をよく耳にしますが、1つの方法論で全てを解決することなどできません。
私もよくスポーツの現場で選手に「近道や魔法はない。自分に必要な当たり前のことを(A)、バカにしないで(B)、ちゃんとやろう(C)!」と伝えます。
大切なことは自分の課題をしっかりと認識し、課題を解決する方法を継続して行うことです。

解決策に関しては次回の記事でふれていきたいと思います。

まとめ

  • 足関節の評価方法はまず第1にFMSのOverhead Deep Squatなどを行い動作を評価する。
  • 動作において機能不全があった場合、その原因をつきとめる。
  • 足関節背屈可動域を評価するテストとしては「Half-Kneeling Dorsiflexion Test」が特別な訓練や場所も選ばずに行えて良い。
  • 足関節の背屈可動域制限の原因としてはJMD、TEDのどちらか、もしくはその両方が考えられる。
  • 原因をつきとめた上でそれに適した解決策を選択する必要がある。

パーソナルトレーニングのご相談は
【仙台市青葉区】パーソナルトレーニングジムANCHORまで

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です