スクワットにおける足関節の可動性 その1


以前の記事で「スクワットにおける足部の安定性」についてまとめました。

スクワットにおける足部の安定性 その1
スクワットにおける足部の安定性 その2
スクワットにおける足部の安定性 その3
スクワットにおける足部の安定性 その4

今回はスクワットにおける足関節の可動性について現時点で考えていることを数回にわたってまとめていきたいと思います。
初回である今回はスクワットにおいてどうあるべきかを考える前に足関節の構造や機能について確認していきます。

足関節の機能解剖

足関節は脛骨、腓骨、距骨の3つの骨で構成されています。

腓骨(Fibula)

腓骨は脛骨に平行で外側に位置している細長い骨です。
腓骨の骨体は下腿にかかる荷重の一部(10%)を伝達はしますが、荷重の大部分(90%)は太い脛骨へと伝わります。
遠位では一般的には外くるぶしと呼ばれている外果を形成し、長・短腓骨筋腱の滑車として機能しています。

脛骨(Tibia)

脛骨の遠位は足関節を通して伝達される荷重に適応するため広がっています。
荷重全体の約90%を脛骨が伝達することが疲労骨折やシンスプリントなどの傷害が多い大きな要因と考えられます。
遠位では一般的には内くるぶしと呼ばれる内果を形成しています。
また、脛骨の遠位端は長軸の周りで、近位端に対して約20-30度外側に捻じれていてこれを「脛骨の外捻」と呼びます。
この外捻がスクワットをする際につま先を30度外に向ける1つの要因となります。

距骨(Talus)

距骨は中足部と後足部を構成する7つの足根骨の中で最も近位に位置する骨で、足部・足関節で重要な距腿関節、距骨下関節、横足根関節の3関節に力学的に関わっています。
距骨の表面の70%が関節軟骨によって覆われているのも、複雑な形状をしているのも納得ですね。
この距骨が後述する関節包内運動によって足関節背屈の際に転がりと滑りを適切に行うことが適切なフォームでスクワットを行うために必要になります。

足関節は、「距骨」と脛骨と腓骨からなる「下腿」で構成されているため「距腿関節」と呼ばれますが、広義では脛骨と腓骨からなる近位と遠位の脛腓関節も含まれています。

距腿関節

内果と外果が側面、脛骨の遠位が上面をなす四角の腔所に距骨が連結されることで形成されています。


大工さんが使用する凹形と凸形の「ほぞ継ぎ」に例えられることが多いですよね。
ということで、今回のアイキャッチは「ほぞ穴」に決定しました。

足関節の運動

距腿関節は運動自由度1の関節で、この動きは内果・外果の尖端と、距骨体を通る回転軸の周りで起こります。

上記の画像でも確認できますが、外果は内果よりも前額面で下方にあるため回転軸は10度傾きます。

さらに、水平面では外果は内果よりも水平面で後方にあるため回転軸は6度傾きます。

上記の2つの回転軸の傾きと、距骨の滑車面外側が内側より長いことから背屈では外転と外返しを伴い、底屈では内転と内返しを伴います。
実際につま先を下に向けると勝手に内側を向き、つま先を上に向けると外側に向きますよね。

背屈と底屈は距腿関節での運動が主ですが、距骨下関節での運動も全可動域の約20%を占めています。
下記に参考可動域を記載しますが、こちらも距腿関節と距骨下関節を足関節複合体として考慮した際の値です。

関節包内運動

これから記載する内容は、足部が非荷重で自由に回転することができることを前提とします。

背屈

距骨は下腿に対して前方に転がり、後方へ滑ります。
この後方への滑りは距骨の前方移動を大きくすることなく背屈運動を行うことを可能にします。
距骨の後方滑りは踵腓靭帯、後部関節包、アキレス腱など緊張させます。
逆に言えば、上記の組織が硬くなると距骨の後方滑りを阻害することも考えられます。

底屈

距骨は下腿に対して後方に転がり、前方へ滑ります。
底屈では前距腓靭帯、三角靭帯脛舟部線維、前部関節包、背屈筋群などが緊張します。

適切なスクワットを行うためには、特に背屈運動が適切に行われることが重要です。
背屈可動域制限の原因が関節である場合は、上記に記述した距骨の後方滑りを理解し適切な方法で改善する必要があります。

まとめ

  • 足関節は距腿関節と呼ばれ、脛骨、腓骨、距骨の3つで構成されている。
  • 足関節は背屈・底屈運動を担い、腓骨の長さや位置、距骨関節面によって回転軸がやや傾いている。
  • 距腿関節は距骨下関節と合わせて足関節複合体として底屈、背屈以外にも内転、外転、内返し、外返しを行う。
  • 背屈の際には距骨は下腿に対して、前方に転がり、後方へ滑る。
  • 距骨の後方への滑りによる背屈は適切なスクワットを行うために重要である。

スクワットにおける足関節の可動性 その2

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