方向転換に大切な「5つのF」 その1
みなさんは方向転換動作の指導においてどんな視点、基準をもってますか?
相手やボールに反応する認知・判断因子を除外した方向転換を改善する為の要因としては
- Structural stiffness(構造体の剛性):傷害予防と力の伝達効率を上げる
- Big force(大きな力):地面に伝える力の大きさを最大化して、大きな地面反力を得る
- Correct direction(適切な方向):重力に打ち勝つ抗重力を生み出し、推進力となる水平成分を最適化する
- Fast time(速い時間):接地時間を短くし、最小の時間で最大の力を伝える
などが挙げられ、それぞれの要因に対して改善するための戦略も異なります。
例えば、構造体の剛性を高めるためには、安定性や姿勢制御を改善するエクササイズがプログラムの中心となり、大きな力を伝えるためには最大筋力を向上させることが必要となります。
今回は「方向転換動作において大切な5つのF」と題して、方向転換をする際の動き方についての注意点や基準についてまとめていきたいと思います。
The 5-F’s
このThe-5-F’sはJim Kielbaso氏の著書『Ultimate Speed & Agility』の中でアジリティの基礎として記載され
- Fundamental Phases of a Change of Direction:方向転換動作の基本的局面
- Feet:足部
- Funnel:漏斗
- Force Vectors:力の方向
- Forwar Lean:前傾
の5つの頭文字をとったものです。
早速1つ目の方向転換動作の基本的局面について確認していきましょう。
Fundamental Phases of a Change of Direction:方向転換動作の基本的局面
まずは方向転換動作がどんな段階をもって行われるかについての理解を深め、どの段階に課題があるのかを見極めるられるようにします。
- 初期減速
- 足部の接地
- 最終減速
- 償却局面
- 新しい方向決めと再加速
- プッシュオフ
- ファーストステップ
方向転換動作としては上記の7つの段階があります。
最終的に右足で切り返す際、まずは左足で減速(初期減速)させた上で右足を地面に接地(足部の接地)させます。
そして、筋がエキセントリックに活動し最終的な減速(最終減速)をし、コンセントリックへと移行(新しい方向決めと再加速)します。
その際、減速を行うエキセントリック局面と再加速を行うコンセントリック局面の間にはタイムラグ(償却局面)が生じます。
方向転換を素早く行うためには、この償却局面はできる限り時間が短いほうが望ましく、長くなった際にはせっかく蓄えられた弾性エネルギーは熱エネルギーとして放散されてしまいます。
コンセントリック局面に入った右足で地面を次に進む方向と反対方向へ押しやり(プッシュオフ)、左足が次の方向へと導きます(ファーストステップ)。
切り返しが効果的でない場合、上記のいずれかの局面に課題があります。
7つの局面を理解することで時系列のどこに問題があるか把握しやすくなりますね。
ちなみに、上記のエキセントリック局面(最終減速)、償却局面、コンセントリック局面(再加速)という言葉どこかで目にしたような・・・。
プライオメトリックですね!
実際にプライオメトリックトレーニングを導入することで方向転換動作が改善したという研究結果がいくつか報告されています。
方向転換の7つの基本的局面の内、3つがプライオメトリックの局面と重なるのも頷けますね。
今回はここまでとさせて頂きます。
まとめ
- 方向転換動作(認知・判断因子を除外)を改善する為の要因はいくつかあり、改善する方法や戦略も異なる。
- 方向転換動作において大切な5つのFとは、方向転換動作の基本的局面、足部、漏斗、力の方向、前傾の英語の頭文字をとったものである。
- 方向転換動作の基本的局面は7つあり、この基本的局面を時系列で理解することで方向転換動作の課題が見つけやすくなる。
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