スクワットにおけるバーポジションについて考える


トレーニングをされている方なら一度は「スクワット」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
正しい数は把握できませんが、数えきれないほどの種類があるエクササイズの中でも特に重要だとされています。
実際、私もこの「スクワット」から多くの恩恵を受けています。

スクワットの目的

  • ヒップドライブの強化
    ハムストリングス、殿筋群、内転筋群などの股関節を伸展する背面の筋群によって構成され、股関節を伸展させる力を生み出す。
  • 骨、関節の強化
    重力に逆らって強い負荷がかかるため、全身の骨格、関節を強化する。骨粗鬆症の予防にも効果的。
  • 体幹の強化
    身体のバランスをとるために腹筋や背筋が強力に刺激される。
  • 精神の強化
    下半身のトレー二ングはきついものが多く、スクワットはその中でも最もきついエクササイズである。立ち向かうことで精神的な強化につながる。

スクワットの種類

「スクワット」はバーの担ぐ位置や足のスタンス、しゃがむ深さによってその呼び名が変わります。

【担ぐ位置】
  • Goblet Squat (ゴブレットスクワット)
  • Frankenstein Squat (フランケンシュタインスクワット)
  • Front Squat (フロントスクワット)
  • Low Bar Back Squat (ローバーバックスクワット)
  • High Bar Back Squat (ハイバーバックスクワット)
  • Over Head Squat (オーバーヘッドスクワット)
  • Zercher Squat (ザーチャースクワット)
【足のスタンス】
  • Wide Stance Squat (ワイドスタンススクワット)
  • Narrow Stance Squat (ナロースタンススクワット)
  • Split Squat (スプリットスタンススクワット)
  • RFE Split Squat (リアフットエレべイテッドスプリットスクワット)
  • Single Leg Squat (シングルレッグスクワット)
【しゃがむ深さ】
  • Quarter squat (クォータースクワット)
  • Half Squat (ハーフスクワット)
  • Parallel Squat (パラレルスクワット)
  • Full Squat (フルスクワット)
  • ATG Squat (アストゥグラススクワット)

勿論、今回記述していないものも多々ありますが、一般的には上記のものがエクササイズとして行われているかと思います。
それぞれのスクワットにメリット、デメリットがあるので、目的や身体的特徴などに合わせて選択できるとよいかですね。

私はここ最近、ローバーバックスクワットとフロントスクワットを中心にトレーニングしています。
以前はハイバーポジションで臀部を後方に引き、しっかりと踵に載せた状態でしゃがむバックスクワットを好んでいました。
そうすることで、股関節有意での動作を行い、ポステリアキネティックチェーン特に臀部、ハムストリングスの活性を高めようと意識していました。
しかし、最近では上記のハイバーバックスクワットは勿論、ハイバーポジションやフロントスクワットで上体をより垂直に起こして、フルまでしゃがんだり(その反面膝はより前にでます)、
ローバーポジションで腰椎の負担を減らした状態で股関節優位のスクワット、踵で踏み込む、中足部で踏み込むなど様々な動きでのスクワットを行うようにしています。

みなさんはどうお考えですか?

さて、今回は私が学びや刺激を頂いているSTACKで、スクワットのバーポジションについての記述がありましたので下記に記載させて頂きます。

How Bar Position Changes The Squat Exercise

The Squat is king of the weight room.
It’s a time-tested way to enhance almost every aspect of athletic performance. If you’re capable of squatting, there’s no reason it shouldn’t play a role in your routine. But how you position the barbell for the Squat can have a big impact on the exercise. Changing bar position changes the biomechanics of the exercise, altering its effects.
スクワットはウエイトルームの王様である。
スクワットは様々な面での競技パフォーマンスを向上させる方法として試験的に証明されている。もしあなたがスクワットを行うことが可能なら、ルーティンに入れない理由はない。しかし、スクワットにおけるバーの位置がエクササイズに大きい影響を与える。バーの位置を変えることでエクササイズのバイオメカニクスも変わり、効果も変わる。

 上記の記事ではスクワットにおけるバーの位置によってエクササイズに大きな影響を与えることを考慮に入れて、5つの伝統的なエクササイズの方法が紹介されています。
  1. High Bar Back Squat(HBBS)
  2. Low Bar Back Squat(LBBS)
  3. Front Squat
  4. Zercher Squat
  5. Landmine Squat

Back Squat

バーベルバックスクワットではハイバーポジションとローバーポジション、2つのバーポジションが利用されています。
ハイバーポジションは主にウエイトリフティング競技、ローバーポジションはパワーリフティング競技の選手が好んで利用しているようです。
上記2つのバーポジションでもハイバーポジションは最も一般的に行われているエクササイズかと思います。
実際、私が20代の頃に勤務させて頂いていた何社かのスポーツクラブでも、利用されているお客様のほぼ全てと言っていいぐらいの方々が、
このハイバーポジションでスクワットを行っていたのを記憶しています。

ハイバーバックスクワット (HBBS)では、僧帽筋上部を横切るようにバーベルを保持するのに対して、ローバーバックスクワット (LBBS)はハイバーポジションよりも5-7.5cm低い位置(一般的には三角筋後部線維と僧帽筋上部線維の間)にバーを保持する。

このバーポジションの違いにより、HBBSは動作を通して上体がより垂直に、LBBSはHBBSよりもバーの位置がより重心の後方に位置するため、動作を通して上体はより前方(約45度)に傾きます。
そして、この上体の角度の違いがHBBSでは負荷を中足部の真上に位置させるために、LBBSよりも膝をより前に出さざるを得ないため大腿四頭筋が、LBBSでは上体がより前方に傾くため、股関節優位のヒップヒンジが必要となり殿筋群への刺激が強調させる。

2017年にthe Journal of Strength and Conditioning Researchで発表された研究ではHBBSについては

HBBSはスナッチやクリーン、または膝関節の筋肉をより強調させるような、上体をより垂直に位置させる動きを繰り返すのに向いている。

LBBSについては

より強力な殿筋群の強調を探し求めている実践者はLBBSを認めるべきである。より重い重量を挙げることがゴールの場合もローバーバックスクワットはより望ましいかもしれない。

と結論を下している。

また、長い大腿骨を有した長身のアスリートはHBBSよりもLBBSの方が心地よく感じ、腰部への負担も少ないとしています。
勿論、指導する際に安全面に配慮し、トレーニング効果を引き出すための適切なフォームを伝える必要がありますが、人間の身体は十人十色。
長い大腿骨や上腕骨を有する選手、足関節や股関節の可動域が少ない選手、大腿骨前捻角が大きい選手など様々な身体的特徴を持っています。
適切なフォームを指導するための型を持ちつつも、通り一辺倒の方にはめ過ぎずに、許容範囲の中で個人の身体的特徴に合わせてエクササイズを選択したり、
型に少し工夫を加えることが必要かもしれませんね。

Front Squat

前述のバックスクワットは身体の後ろ側でバーを保持するのに対して、フロントスクワットは肩の前、首の近くを横切ってバーを保持します。
私はこのフロントスクワットをスクワットの導入段階で指導することが多いです。
理由としては2つあります。

  1. 腰椎への負担を少なくしながら、適切な脊柱のラインを維持するためのフォームや筋肉を強化できる。
  2. 選手がプログラムを進めていった際に、事前にRack position(ラックポジション)を指導しておくことでクリーンを導入しやすくなる。

また、バーの位置により重心がやや前に来ることによって、初心者には股関節での動作を意識しやすくなるのも理由としてあげられます。

私はフロントスクワットを行う際に、まずフランケンシュタインスクワットやゾンビスクワットと呼ばれるエクササイズを試します。
バーを保持する位置は上記の通りですが、肘を伸ばした状態で腕を地面と水平になるように前方に伸ばし、バーを適切に乗せる感覚をつかんでもらいます。
バーが適切な位置で保持できれば、よっぽど手関節が硬い場合を除いてクリーングリップでのフロントスクワットへと発展させます。

フロントスクワットにおけるバーの位置はHBBSど同様、動作を通して上体を垂直に保ちやすくし、特質として大腿四頭筋と殿筋群への刺激を強調させます。

2009年にthe Journal of Strength and Conditioning Researchで発表された研究では

フロントスクワットは半月板損傷や長期的な関節の健康のように膝に問題を抱えるクライアントに対して、バックスクワットと比べて利点があるかもしれない。

と結論を下しています。

Zercher Squat

There’s a good chance you’ve never heard of the Zercher Squat before, but it’s a fantastic exercise. It makes use of a unique bar position by placing the barbell inside the crook of your bent elbows. This article gives a great breakdown of how to set-up for the position.

ザーチャースクワットは屈曲させた肘の間にバーを位置させる独特のバーポジションを使用して行います。
詳しくはSTACKに記事がありましたのでご覧ください。

ザーチャースクワットにおいてバックスクワットと同じ重量を扱うことは不可能ですが、負荷を背中から腕に移動させることで脊柱に対する圧縮やストレスを減少させる、前述のスクワットよりも上背部(僧帽筋、菱形筋、三角筋後部線維)の筋肉やコアに特有の刺激を与える利点があるようです。

ただ、腕とバーの間に柔らかいものを介在しないと痛いです!
もし、エクササイズに導入する際は、スクワットパッドを使用することをお勧めします。

Landmine Squat

ランドマインスクワットはゴブレットスクワットと似ていますが、胸骨の前で一方のバーベルの端を持ち行います。

このエクササイズの素晴らしいところは上体を垂直に保ち、かつ膝の前方への移動をも防ぐことができることです。
バーベルを用いたスクワットでは上体を前に倒し腰部への負担を増やすか、膝を前に出し膝への負担を増やすかの二者択一的な方法をとるしかありません。
それに対してこのランドマインスクワットはまさに両者のいいとこどりなエクササイズですね。
さらにバーを担がないので、肩への負担も気にせず行えるのも利点の一つと言えます。

私はこれまでランドマインスクワットは行ってこなかったので、今後はゴブレットスクワットのプログレッションエクササイズとして導入したいと考えています。

まとめ

  • スクワットは様々なバーを保持する位置、足のスタンス、しゃがむ深さによって様々なバリエーションがある。
  • 各バリエーションにはそれぞれメリット、デメリットがある。
  • スクワットには適切なフォームはあるが、個人の身体的特性などによりバリエーションの選択やフォームを微調整する必要がある。

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