スクワットの際はつま先は正面と外側どちらに向けるべき?


今回の記事はスクワットの際のつま先の向きについてまとめたいと思います。

簡潔に言うと「スクワットの時ってつま先は正面に向けるのと外側に開くのどっちがいいの?」ということです。
この問いに対する答えは、日本国内で私が知る限りでも、施設や団体によって意見が分かれているようです。

正解は「どちらも正解」です。

但しこれにはある条件に依存します。
その条件とは

  • 負荷の有無

です。

負荷を持っていない状況で行うオンフィールド、オンコートでのスクワットの場合はつま先は正面に向けるべきです。
それに対して、負荷を持ったスクワットではつま先を外側に向けるべきです。
それぞれを詳しくみていきましょう。

つま先を正面にむける

つま先を正面に向けるスクワットの目的は2つあります。

  • スクリーニングとして用いる
  • 動作を改善する

皆さんもご存知かと思いますが、FMSの7つの動作パターンの1つである「Deep SQ」の足の位置は

  • 足幅は腋窩の下に足部の内側
  • つま先は正面

となっています。
つま先を正面に向けることで、あえて動作を難しくして、足関節と股関節の可動性、腰椎骨盤の安定性、姿勢制御などの問題を浮き彫りにします。
その為、クライアントの動作に問題があるかをスクリーニングする良いツールとなります。

また、コートやフィールドでの動作を改善する為のムーブメントドリルとして用いることもできます。
アスレティックポジションは競技種目やポジションによってその足幅は異なりますが、つま先の向きに関しては正面を向けるのが一般的です。
その理由としては

  • パフォーマンス
  • 傷害予防

2つの観点から考えることができます。

パフォーマンスに関してはジャンプ動作や着地、加速などでは適切な方向への力の伝達やSSCを引き出すためにつま先を正面に向ける必要があります。
バスケットのリバウンドからの着地などではつま先を外側に向け、支持基底面を広げた方がコンタクトに強くなる場合もありますが。

切り返し動作においてもつま先を正面に向けた方が、横方向への力強いプッシュオフが可能になります。

【図1】

図1の下の段のように、つま先が開いてしまうと、次に行くべき方向に向けるべきディレクショナルステップの角度が甘くなり、横方向への動作が膨らみ移動する距離が長くなってしまいます。

傷害予防的な観点からもつま先を外側に向けることで相対的に膝が内側に入り、傷害のリスクが高くなるため注意が必要ですね。

つま先を外側に向ける

つま先を外側に向けるのはウエイトルームにいる時です。
上記のつま先を正面に向けるスクワットは「ムーブメント」です。
つま先を外側に向けるスクワットは「エクササイズ」です。
つまり、ウエイトルームで負荷を用いて筋の出力を改善し、パフォーマンスの向上を目的として行う場合に用いるものです。

では、なぜこの向きを用いる方が良いのかを説明したいと思います。
それには5つの理由があります。

  • それが自然だから
  • 支持基底面が広くなる
  • 効果的なヒップドライブが可能となる
  • 股関節のインピンジメントを防げる
  • 膝の負担を減らす

まず初めに、私たちの脛骨について触れましょう。

【図2】

図2のように、脛骨の遠位は近位に対して20-30度外側に捻じれています。
この捻れは立位の際に

  • 支持基底面を広げる
  • 重心が支持基底面の中央に寄る

ようにして、安定性を高めています。
これに関しては後述します。

人によって捻れの大きさは異なりますが、そもそも構造的に捻じれているため、つま先は外に向けた方が自然に感じます。
そして、その角度は30度ぐらいを基準として微調整するのが良いと思います。
文献によっては30度以上広げることはスクワットの効果を下げる可能性があるとされているので、開きすぎもよくはないようです。

2つ目の支持基底面については図3をご覧ください。

【図3】

両足のつま先と踵を結んだグレーの部分を支持基底面といい、この面積が広い方が安定性が高くなります。
ウエイトルームでのスクワットは筋の出力を上げるため、高重量を扱います。
支持基底面を広くし、安定した土台を作って行うことでバランスがとりやすくなり、効果的にスクワットを行うことができます。

3つ目は、大内転筋の活性を高め、力強いヒップドライブを生み出すことです。

【図4】

股関節伸展の主となる筋は

  • 大殿筋
  • ハムストリングス
  • 大内転筋

の3つあります。
内転筋群は恥骨筋、短内転筋、長内転筋、大内転筋、薄筋がありますが、この中で唯一坐骨結節に起始をもち、股関節の伸展に作用するのが大内転筋です。
つま先を外側に向け、膝を割り、前額面上でつま先の上に膝を位置させることで股関節が外転します。
股関節をが移転させることで、大内転筋が活性化され大殿筋、ハムストリングスと共に力強く股関節を伸展させます。
この大内転筋によるヒップドライブへの貢献はよく見逃されてしまいますね。

4つ目は、股関節のインピンジメントを防ぐことです。

【図5】

図5の左側はつま先と膝を正面に向けてスクワットしているものです。
深くしゃがみこんでいくと大腿骨とASIS(上前腸骨棘)がぶつかっているのが分かります。
それに対して、右側の図では、つま先を外側にむけ、その上に膝を位置させています。
そうすることで、大腿骨はASISの外側に位置し、インピンジメントすることを回避しています。

最後の5つ目は、つま先を正面に向けると矢状面の動きでのみしゃがみこむことになるため、膝がより前に移動する必要がでてきます。
そうすることで膝に対するモーメントアームが長くなり、より大きな剪断力が発生することになります。
特に、膝に慢性的な障害を抱えている選手は気をつけなくてはいけませんね。

ここまでつま先を正面に向けた場合と、つま先を外側に向けた場合の違いについて説明しました。
大切なことは

2つのスクワットは違うものだと認識すること

だと思います。
どちらが正しいというものではなく、フィールドやコート上で「ムーブメント」として行うのか、ウエイトルームで「エクササイズ」として行うかによってつま先の向きを調整することが大切です。
フィールドやコート上でつま先を外に向けていたらジャンプや切り返しのパフォーマンスが下がる可能性があり、逆にウエイトルームでつま先を正面に向けて負荷を加えたスクワットを行えば効果的に筋出力を高めることができないばかりか、膝や腰へ過剰なストレスがかかり傷害のリスクを高めることになります。

私が選手に指導する際も、まずはこの2つの違いを選手に認識させるところから始めるようにしています。

まとめ

  • スクワットの際のつま先の向きは状況によって変わる。
  • スクリーニングやムーブメントとしてスクワットを行う際はつま先は正面に向ける。
  • エクササイズとして負荷を加えてスクワットを行う際はつま先は外側に向ける。
  • まずは2つのスクワットの違いを認識し、状況に合わせて使い分ける。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です