プライオメトリックトレーニングのプログラムデザインで考慮すること


今回はプライメトリックトレーニングをプログラミングする際に考慮すべきことをまとめてみました。
プライオメトリックトレーニングは主にジャンプを用いたエクササイズで、ストレングス、パワー、コーディネーションなど競技パフォーマンスを改善する効果があります。
特に「力の立ち上がり率」であるRFDの改善は高重量トレーニングよりも効果が期待できます。
とは言え、土台となる最大筋力があることが前提で、長期的には高重量トレーニングも必要ですが。

さて、選手がこのプライオメトリックトレーニングの恩恵を受けるためには適切な方法でエクササイズを行う必要がありますが、考えなくてはならない要因が多く、プログラムデザインまでは中々という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

プライオメトリックトレーニングおけるプログラムデザインの要因

  • 性別
  • 体重
  • トレーニング歴
  • 最大筋力
  • 頻度
  • 強度
  • 休息時間
  • エクササイズの方法
  • 台の高さ

などが一般的に考慮することかと思います。
上記を考慮しながら原理原則に基づきながら、個人の身体的特性に合わせてプログラムをデザインできればいいですね。

今回はプログラムをデザインするにあたって、上記の要因について参考になる研究をご紹介したいと思います。

DETERMINING VARIABLES OF PLYOMETRIC TRAINING FOR IMPROVING VERTICAL JUMP HEIGHT PERFORMANCE
de Villarreal et al.

この研究は下半身のプライオメトリックトレーニング(上半身は除外)で

  1. コントロール群を含むもの
  2. ランダム化比較試験(RCT)
  3. 高い相関性と妥当性による手段で行われたもの
  4. 失敗例の少ない実験

の4条件をクリアした56の研究をメタ分析したものです。
結果と考察から結論付けられたことを箇条書きします。

【性別】
・男性は女性よりもプライオメトリックトレーニングの効果を得られる傾向にある。

【トレーニング歴】
・よりスポーツやトレーニングを経験している方が効果を得られる。

【頻度と量】
・週2回の頻度で10週間(計20セッション)以上行うと効果的。
・週2回と週4回では大きな違いはなく週2回の方が効率がよい。
・1セッションあたり50回以上のジャンプを行うとより高い効果を得られる。

【強度】
・強度が高いエクササイズの方が低いものよりも効果を得られる。
・身体に負荷を加えてプライオメトリックトレーニングを行ったからと言って、より多くの効果を得ることはできない。

【方法】
・SJs、CMJs、DJsの複合プログラムの方が、1つのタイプのジャンプを行うよりも効果が得られる。
・fast SSC(DJs)の方が、NCMやslow SSC(CMJ)よりも効果が期待できるかもしれない。

【台の高さ】
・DJsにおけるボックスの高さは重要ではない。
・低いボックスで行うことで、怪我のリスクを抑えながら、より多くの回数をこなすことができる。

上記を参考にするとプログラムが具体的になってきますね。

さらに方法論として

プライオメトリックトレーニングの構成要素

  • Movement : 動作
  • Direction : 方向
  • Initiation : 始動

などがあげられます。

Movement(動作)
  • JUMP:両足でジャンプし、両足で着地するエクササイズ。
  • HOP:片足でジャンプし、同側の片足で着地するエクササイズ。
  • BOUND:片足でジャンプし、対側の片足で着地するエクササイズ。

日本ではHOPは両脚、片脚問わず連続で行うジャンプを言うようですが、海外では両脚で跳ぶものを単発、連続問わずJUMP、片脚で跳ぶものをHOPと言うようです。
実際、ハードルを跳ぶ際に「両脚でのハードルジャンプ」や「片脚でのハードルジャンプ」と言うよりも「ハードルジャンプ」、「ハードルホップ」と表現した方がシンプルで伝わりやすかと思います。

Direction(方向)
  • LINEAR:垂直、水平を強調した前方向へのエクササイズ。
  • LATERAL:垂直、水平を強調した横方向へのエクササイズ。
  • ROTATIONAL:垂直、水平を強調した回旋方向へのエクササイズ。

方向に関しては競技特性を考えて選択をすると良いかと思います。
例えば、バレーボールのサイドアタッカーの場合、垂直を強調した前方向へのエクササイズ、サッカーのゴールキーパーの場合、水平を強調した横方向へのエクササイズなどが選択肢としてあげられます。

Initiation(始動)
  • Non Counter Movement:反動動作を用いないエクササイズ。
  • Counter Movement:反動動作を用いたエクササイズ。
  • Double Contact:反動動作の前に一度地面に設置するエクササイズ。
  • Continuous:連続した反動動作を用いたエクササイズ。
  • Depth / Drop Jump:BOXなどの高い位置からの反動を用いたエクササイズ。

こちらは前述の研究でSJs、CMJs、DJsの複合プログラムの方が、1つのタイプのジャンプを行うよりも効果が得られる点と、fast SSC(DJs)の方が、NCMやslow SSC(CMJ)よりも効果が期待できるかもしれないといった点を考慮しながらプログラムをデザインできれば良いかと思います。
その際、DJsに関しては台の高さはあまり関係ないようですので、むしろ高さにこだわり過ぎるよりも、少し低めに設定することで怪我やオーバートレーニングのリスクを抑えながら、回数をこなすことができますね。
特に体重の多いクライアントを指導する際は、関節への負担も考慮しながら高さを選択する必要がありますね。
また、高くし過ぎることで接地時間が長くなり、折角蓄えられた弾性エネルギーが熱として放散されてしまい効果的ではなくなります。

下記にEXOSで行われているプライオメトリックトレーニングプログラムを一部修正し、私が行っているものをご紹介させて頂きます。

まとめ

  • 男性は女性よりもプライオメトリックトレーニングの効果を得られる傾向にあり、よりスポーツやトレーニングを経験している方が効果を得られる。
  • 週2回の頻度で10週間(計20セッション)以上行うと効果的。
  • 強度は高い方が良く、1セッションあたり50回以上のジャンプを行うとより高い効果を得られる。
  • 身体に負荷を加えてプライオメトリックトレーニングを行ったからと言って、より多くの効果を得ることはできない。
  • SJs、CMJs、DJsの複合プログラムの方が、1つのタイプのジャンプを行うよりも効果が得られる。
  • DJsにおけるボックスの高さは重要ではなく、低いボックスで行うことで、怪我のリスクを抑えながらより多くの回数をこなすことができる。

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