「効果」と「効率」
みなさん物事に対する効果と効率どちらが大切だと思いますか?
この質問に自分なりの答えを出すことは難しいことで、私自身その狭間で揺れ動く事があります。
この効果と効率、辞書で調べてみると
効果
よい結果。望ましい結果。ききめ。
効率
機械が有効に働いてなした仕事の量とそれに供給した総エネルギーとの比率。また、仕事の能率。
と記載されています。
私が普段行っている仕事に関して言えば、パーソナルトレーニングでの指導とチームでのトレーニング指導では、前者は1人のクライアントと向き合い、最大の効果を引き出すためのプログラムデザインやフォームの指導が行えるのに対して、後者では多数のクライアントに対して一定の効果を出すためには、ある程度の効果を犠牲にしてでも効率を考えなくてはならない場合があります。
実際、私がチームで指導する際、多い時で50名程を2時間で指導する機会があります。単純計算で1人の選手に指導できる時間は2.4分しかありません。この時に私が効果だけを追い求めて1人の選手に1時間かけてしまえば、それ以外の49名を犠牲にすることになります。
以前、アメリカでトレーナーとして活動されている日本人にこんな質問をしたことがあります。
「日本とアメリカでは何が違いますか?」
今になって振り返るとこんなざっくりとした質問は失礼ですが・・・
するとこんな答えが返ってきました。
「効果と効率ですかねぇ」
その方がおっしゃるには、アメリカのトレーナー業界でも日本人トレーナーは重宝されているようです。
日本人トレーナーの手技はきめ細かで、仕事に対する誠実な姿勢は選手からの評価も高いそうです。
これはまさに「効果」を追い求めることに優れた日本人の国民性だと思います。
実際、日本の伝統工芸は世界に誇れる素晴らしいものばかりで、職人の方の工芸品に対する想いにはプロとして学ぶことが多くあります。
その素晴らしい「効果」の反面、職人としての技術は主観的な要素も多く、伝えることが難しいとされ、多くの伝統工芸が姿を消しています。
世の中が、低価格、多様性、機能性などを求めるようになったのも大きな要因かとも思います。
それに対してアメリカでは、良いものは広く伝えようとする考えがあるようで、技術を効率的に伝える仕組づくりまで行うことが多いようです。
トレーナー界でも新しいメソッドやシステムは体系化され、オンラインでの資格取得などができるようになっています。
良いものを(効果)を、より多くの方(効率)に広める取り組みは素晴らしいですね。
ファンクショナルトレーニングの生みの親であるマイクボイル氏も「KISSの法則」として、プログラムやシステムを立案する際に下記のことを心がけるよう言っています。
Keep it simple stupid バカバカしい程、簡単にしろ!
私自身そうですが、ドンドン知識や経験が増えると同時に伝えたいことも増え、プログラムやシステム、話の内容が複雑になりがちです。
しかし、どんなに素晴らしい知識や経験があってもそれがクライアントに伝わらず、行動に移してもらえなければ「効果」を引き出すことはできません。
情報化社会の現代では書籍、ネットなどでトレーニングに関する情報が溢れ何からやったらいいのか分からなくなっている方がふえています。
そんな時に、我々トレーナーが成すべきことは専門家として難しい言葉を並べることではなく、情報を整理して、相手に必要なことをシンプルに伝えることかもしれませんね。
また、チームでのトレーニング指導の際には集団に対しての指導を行いながら、個々の身体的特性に修正できるような効率の良いシステム構築が必要です。
例えば、選手にスクワットを行ってもらう際、同じスクワットでも選手によってはgobletやfrontだったり、back squatでもhigh bar positionもしくはlow bar positionなどプログレッションとリグレッションを選択できるようにしておくことも可能です。さらに、股関節での屈曲動作がうまくできない選手に対してはRDLなどの習得を第一にするなどLateralization(側性化)も選択肢に入れておくのも良いですね。
まとめ
- 効果と効率は時に相反することを行わなければならない。
- 日本人は効果を追い求めることに優れているが、効率の観点が少ない
- 特に多数に指導する際は効果だけではなく、効率も考慮する必要がある。
- プログラムやシステムを構築する際は「KISSの法則」を用いると良い。
- プログレッションやリグレッションの用いたシステムを構築することで多数への指導でも個人の身体的特徴を考慮したプログラムを提供できる。
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