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スクワットにおける足関節の可動性 その3

前回までの記事で足関節の構造とその機能、そして、その働きがその他の関節にどのような影響を与えるかを確認しました。

スクワットにおける足関節の可動性 その1
スクワットにおける足関節の可動性 その2

今回の記事では足関節が果たすべき機能を果たしているかを評価するための2つのテストをご紹介します。

Overhead Deep Squat (オーバーヘッドディープスクワット)

このテストは、股関節、膝関節、足関節の左右対称性の可動性を評価するテストです。
また、両手を頭上に挙上する動作も組み合わさることで、肩関節の左右対称性の可動性と胸椎の伸展可動性も合わせて評価することができます。

このテストを行う際の基本的なルールとしてはウォームアップを行わない状態で評価することです。
まずは下記の動画をご覧ください。

開始姿勢
動作
評価基準
採点方法

このFMSはFunctional Movement Screenの名称からもわかる通り、あくまでスクリーニングをするツールです。
スクリーニングはの目的はどこに問題があるかを見極めるものではなく、対象とする集団の中から問題があることが予測される選手をふるいにかけて選別することです。
この段階では問題がどこにあるかを考えずに機能的な動作ができているのかできていないのかを評価します。
もし、評価で3点の場合は足関節での問題もないと考えていいかと思います。
理由としては、FMSにおけるOverhead Deep Squatではつま先を正面に向け足関節の可動性をより強調して測定しているからです。
通常のスクワットでは以前お話したようにつま先を30度外側に向けたスタンスをとりますが、つま先を正面に向けたスタンスでは足関節の背屈がより必要になります。
要するに、より足関節の背屈可動域が必要なFMSで適切な動作ができれば、通常のスクワットはできるということです。

もしこのテストで2点以下の選手がいたら、その問題がどこにあるのかを評価していきます。
但し、いかなるときも動作を評価することが第1のステップ(Always assess movement first)です。
今回は足関節の背屈可動域を評価するテストの中で現場で簡易に行えるものをご紹介します。

Half-Kneeling Dorsiflexion Test (ハーフニーリングドルシフレクションテスト)

このテストは片膝立ちで足関節の背屈可動域を評価するテストで、多数の研究において足関節の可動域評価法として用いられています。
理学療法士のDr.Mike Reinold氏も測定する側の特別な訓練の必要がない信頼し得るテストとして推奨しています。

開始姿勢

上記のチェックリストで全てPassにチェックがつく場合、足関節の十分な背屈可動域があることを示し、Overhead Deep Squatでの機能不全は足関節以外にあることが考えられます。足部の安定性の欠如、膝関節の安定性の欠如、股関節の可動性の欠如、もしくはモーターコントロール・姿勢制御に問題があるかもしれません。

しかし、もしFailにチェックがつく場合、足関節の背屈可動域制限があり、Overhead Deep Squatにおける機能不全は足関節に原因の1つがあると考えられます。仮に右足が全てのチェックリストをPassしても、左足でFailにチェックがつく場合、左足関節の背屈制限により深くしゃがめないばかりでなく、体重のシフトなどの左右非対称性の機能不全が起こります。

足関節背屈制限の原因としては

の2つが考えられます。
大切なことは上記のどちらが背屈制限になっているかを見極め、それによって適切な解決策を選択し実施することです。

There is no one-size-fits-all approach

全てを改善することができる万能薬はないということです。
「なんとかメソッド」とか「これさえやれば・・・」などの言葉をよく耳にしますが、1つの方法論で全てを解決することなどできません。
私もよくスポーツの現場で選手に「近道や魔法はない。自分に必要な当たり前のことを(A)、バカにしないで(B)、ちゃんとやろう(C)!」と伝えます。
大切なことは自分の課題をしっかりと認識し、課題を解決する方法を継続して行うことです。

解決策に関しては次回の記事でふれていきたいと思います。

まとめ

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